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 伝統芸能未来プロジェクト

川名のひよんどり

若者の都市部への流出や高齢化により、伝統芸能の継承や祭礼の維持が深刻化しています。私たち、NPO法人わたぼうしグランドデザインは、次世代へと続く新しい継承のカタチを創るため、浜松市浜名区引佐町川名地区で600年続く「川名のひよんどり」の継承を目的とした活動に取り組んでいます。

令和5年度は、1月4日祭礼当日には、ヒドリや舞の出演だけでなく、YouTube・インターネットラジオでの「ブロードキャスティング」を行いました。また地区の児童生徒向けに「かわなホーミーズ」を実施し、600年記念行事の第一弾として、子どもたちと共に「シャッターアート」の制作に取り組みました。

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活動の背景

「ずっと続く伝統芸能」モデルを浜松から創る

浜松市内には多様な地域の伝統文化が根付いており、特に中山間地域で受け継がれています。しかし、若者の都市部への流出や高齢化などの影響で、伝統芸能が消滅の危機に瀕し、次代への継承が困難になっています。この課題に取り組むため、平成28年から私たちは浜松市浜名区引佐町川名地区の伝統芸能「川名のひよんどり」の継承活動を展開してきました。川名のひよんどりは国指定の無形重要文化財に指定され、令和8年には600年を迎えます。しかし、祭礼の継承者であった「若連」が消滅し、伝統芸能の継承が危機的な状況です。

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私たちは保存会と協力し、ヒドリや舞、お囃子への参加を通じて伝統芸能の継承に取り組んでいます。さらに、コロナ禍の令和4年正月からはオンライン配信を実施し、保存と活用の継承活動に取り組んでいます。

また川名地域では、地区の小学校の廃校により児童はスクールバス通学を余儀なくされています。地域で子どもたちが遊ぶことがなくなりつつあります。直前の舞の練習以外は、互いの関係性が希薄化していく現状から、私たちは令和3年より川名地区の児童を対象にした月1回のスクールとして「かわなホーミーズ」を始めました。この活動により、地域への愛着を深めつつ、変化する地域の中でも新しい継承の形を築くことを目指しています。

令和5年度 活動内容

1.川名ひよんどり継承活動

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川名ひよんどり保存会に協力し、大学生によるヒドリと舞、お囃子を披露しました。ヒドリ神事は、若者の祭礼の象徴であり、3 年ぶりの復活に参加できる事は、地域の活性に大きく貢献することが期待されています。また、絶えることなく続く伝統の舞を、次世代の後継者である「かわなホーミーズ」の子どもたちとともに取り組みました。これまで川名地域や都市部での稽古をつけていただきましたが、令和5年度は、遠隔によるオンライン稽古についても一部実施しました。

2.ブロードキャスティング(ライブ配信)

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令和6年1月4日に、第598回「川名ひよんどり」のヒドリから舞の終わりまでの様子をYouTubeチャンネルでライブ中継しました。また、今年初の取り組みとして、インターネットラジオ「Shizuoka VOICE」で番組「かわなdeお祭り騒ぎ」を開催しました。この番組では、伝統芸能に関わる大学生、小学生、保存会関係者などが出演し、ひよんどりに対する感想や次世代に残したい想いをインタビュー形式で発信しました。

3.かわなホーミーズ

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川名地域の児童(小学1年生~6年生)を対象としたスクールを令和3年度から3年間、実施しています。今年度は、8月~2月の期間に毎月1回、運動、工作、アート活動を通じ、子どもたち同士の交流を行い、将来ともに継承していく、子どもたちと大学生メンバーの交流を促進し、共に地域への愛着を。また本年度は、この活動の一環として、子どもたちともに、「シャッターアート」の制作にも取り組みました。

(助成:令和4年度コミュニティ活動集団育成事業(2年間))

4.シャッターアートプロジェクト

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「川名ひよんどり」600年記念事業の第1弾として、川名ひよんどり保存会、一般社団法人College Impact Japanの三者主催で、福満寺薬師堂内にある舞台小屋のシャッターをかわなホーミーズの子どもたちと一緒に制作しました。

デザイン・制作に関するプロジェクトチームを結成し、かわなホーミーズの児童と学生の共同作業で、イラストを考案しました。考案したいくつかのデザイン案をひよんどり保存会に選んでもらい、実際のヒドリや地域の自然を反映させました。

アート制作は、11月23日~12月11日の期間に実施。縦4メートル×横8メートルの舞台小屋のシャッターを巨大キャンパスとして、色塗りを行いました。完成したシャッターアートは令和6年正月の祭礼行事でお披露目し、またシャッターデザインをポストカードとして販売しました。

活動の効果

1.メディア掲載

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2.浜松市長へ新しい継承のカタチを提言

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2/2(金)に、「市長と話そう」に参加させていただき、中野市長とランチミーティングをさせていただきました。
中山間地域における伝統芸能について意見交換させていただき、私たちの話を真摯に聞いてくださり大変貴重な経験となりました。また私たちから、地域と首都圏および地域と地域の人々をつなぐ「デジタル・ブリッジ構想」を提言させていただきました。就職や進学により、地域を離れざるを得ない状況がある中で、デジタル技術を駆使することで、場所を越え、どこからでも参加できる継承活動を、地域一体で実現したいと伝えさせていただきました。

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